GRCについて
GRCの特徴
GRC(Glassfiber Reinforced Cement)とは、[耐アルカリガラス繊維強化セメント]の略称でセメントマトリックスをガラス繊維で強化した複合体のことです。
1973年に英国で開発され、日本では1975年に導入されて以降、30年にわたり環境の厳しい北海道をはじめとする北陸地方で多用されていました。北海道などの寒冷地では、冬期の最低気温が氷点下を下回ることが度々ですが、外装材が水分を含んでいると水分が固体化した時、液体の状態よりも固体(氷)の時の方が体積が増えるので外装材の中で膨張し微細な劣化が進行していきます。
そのため寒冷地域では、吸水率の低いGRCが普及しました。凍結融解を繰り返すことは外装材を傷め、断熱材を劣化させ、そして建物の寿命を縮めることになります。
- 高い曲げ破壊強度をもち、かつ破壊時に粘り強い
- 耐衝撃強度に優れ、かつ亀裂が入りにくい
- ノンアスベスト不燃材である(不燃NM-8313)
- デザイン性・造形性がある
- コンクリートの素材感を楽しめる
- 薄く高強度の形成品のため軽量化に有効
- 耐候性に優れている
- 吸水率が低く、凍害に強い
GRCの製造方法
ダイレクトスプレー法
セメント或いはセメントモルタルのスラリーをポンプで圧送し、スプレーガンで型枠面に吹き付けると同時に、耐アルカリガラス繊維のロービングをカッターで所定の長さに切断しながら、噴霧状態のセメントモルタルスラリーと同時に、型枠面に吹付け成形します。
プレミックス法
セメント或いはセメントモルタルと、予め所定の長さに切断した耐アルカリガラス繊維のチョップドストランドをミキサー中で混合し、型枠の中へ流し込むか、この混合物を押出しやプレスなどで成形します。
GRC物性表
ダイレクトスプレー法 | プレミックス法 | ||
---|---|---|---|
曲げ強度(N/mm²) | 比例限界強度 | 8〜15 | 5〜10 |
破壊強度 | 20〜30 | 10〜18 | |
曲げヤング率(N/mm²) | 15〜21×10³ | 13〜21×10³ | |
圧縮強度(N/mm²) | 50〜80 | 40〜80 | |
吸水率(%) | 10〜15 | 10〜15 | |
乾燥収縮率 | 8〜15×10-4 | 8〜15×10-4 | |
熱伝導率(W/m・K) | 0.7〜1.0 | 0.7〜1.0 | |
熱膨張率(1/K) | 7〜12×10-6 | 7〜12×10-6 | |
気乾比重 | 1.8〜2.3 | 1.8〜2.3 |
ガラス繊維について
GRCに含まれるガラス繊維ARG(Alkali Resistant Glass)はジルコニア(ZrO2)含有率が17%以上と高く、耐アルカリ性、耐酸性に優れたガラス繊維です。
ARGファイバはバラエティに富んだ製品でGRC用やアスベスト代替用など様々な用途に使用されています。
GRC製造時には工法や用途に応じてネット、ロービング、チョップドストランドを使い分けております。